「自分を変えたいのに、なかなか変われない」 「いつになれば、私は変われるのだろう」
私自身も、そんなふうに思っていた頃があります。
「こんなはずではない。もっと違う人生があるはずだ」
そう思いながら、今の自分とは違う何かを求めていました。誰かに憧れ、自分にはないものを持っている人が羨ましく見える。その人のようになりたい、真似をしてみたいと思うこともありました。
けれど、今振り返ってみると、当時の私は自分自身のことをよくわかっていなかったのだと思います。ただ、今の人生に不満があり、何かが変わればいいと願っていたのです。
現在地の迷子|憧れの場所を目指す前に「今自分がどこにいるか」を知る大切さ
当時の自分を例えるなら、海や山へ行ってみたいと思っているのに、今自分がどこにいるのかわからない状態だったのではないかと思います。
もしかすると、海のすぐ近くにいるのに、それに気づいていなかったのかもしれません。あるいは、すでに山の中にいるのに、そこにいることを知らず、もっと高い山に憧れていたのかもしれません。
もし海へ行ったとしても「ここではなかった」と思ったかもしれません。山へ行っても「これまで見ていた景色と何も変わらない」と思ったかもしれません。
どこへ行けばいいのかわからないのではなく、そもそも「今、自分がどこにいるのか」がわかっていなかったのです。
道を案内してくれる人がいたとしても、現在地がわからず、どこへ行きたいのかもわからないのなら、道を案内することはできません。今思えば、私も同じだったのだと思います。
否定からの逃避|「自分を変えたい」と「成長したい」の大きな違い
当時の私は、反骨心や悔しさ、一時的な気持ちの揺れから「自分を変えたい」と思っていたのかもしれません。
勝負事に負ければ、勝った人が羨ましくなる。自分が損をすれば、得をした人が羨ましく見える。そんな一時的な自分の状態にもかかわらず、「自分には何かが足りない」「もっと違う自分にならなければ」と、自分自身を否定していたのだと思います。
できないことがあるから、できるようになりたい。もっと向上したい、成長したい。
そう思うことと、「自分を変えたい」と思うことは、少し違うのではないでしょうか。
当時の私は、隣の芝生が青く見えていただけだったのかもしれません。そして、よくわからない自分と向き合うことを避けていたのだと思います。本当は、自分のことをもっと知っておく必要がありました。
私は、無理をして生きてきたのだと思います。そして、「もうこれ以上、無理をして生きるのは嫌だ」と感じて、逃げ出したくなっていただけなのかもしれません。
表面的な変化の限界|衣装を着替えても自分自身の本質は変わらない
人は誰でも、多かれ少なかれ、無理をしながら生きているのではないでしょうか。
楽しそうに生きている人。生き生きとして見える人。そんな人が羨ましくなり、「私もあんなふうに生きられたら、もっと楽になれるのではないか」と思うことがあります。
けれど、仮にその人のような生き方を手に入れたとしても、また別のところで無理をしてしまうのかもしれません。
どれだけ服を着替えても、自分は自分のままです。表面的なものを変えるだけでは、結局のところ満たされないのではないでしょうか。
だからこそ、まずは「今、この自分」と向き合ってみる。
- 自分は何を望んでいるのか
- 何を嫌だと感じているのか
- 何を無理しているのか
- 誰かに憧れているのはなぜなのか
- 本当にその人のようになりたいのか
- それとも、今の自分から逃げたいだけなのか
そんなことを、一つひとつ見ていく必要があったのだと思います。
視点の転換|「自分を変えたい」の奥にある「本当の自分を知りたい」という願い
今になって思うことがあります。私は、本当に「自分を変えたかった」のでしょうか。
もしかすると、知らなかった自分に会いたかったのではないでしょうか。
今までの自分とは違う何かが、自分の中にあるのではないか。それを知りたかったのかもしれません。「自分を変えたい」と願っているようで、その奥には「本当の自分を知りたい」という思いがあったのだと思います。
もし今も、無理をしながら何かの役を演じるように生きているのなら、どのような役に変わったとしても、また無理をして演じてしまうでしょう。
誰かのようになろうとする前に、「私は、今どこにいるのだろう」と立ち止まってみる。そして、「私は、本当は何を感じているのだろう」と、自分の内側を見てみる。
誰かのようになりたい。もっと違う自分になりたい。そう思うこと自体が悪いわけではありません。けれど、その思いが「今の自分では駄目だ」という否定から始まっているのなら、一度立ち止まってみてもいいのではないでしょうか。
憧れなのか。本当の願いなのか。ただ着飾りたいだけなのか。それとも、自分を生かしたいのか。
答えを急いで見つけなくてもいいと思います。まずは、今の自分を知ってみる。
変わらなくていい。ただ本当の自分に出会っていけばいい
表面的な自分だけではなく、思い切って自分の内側へ踏み込んでみる。そこには、自分でもまだ知らなかった自分がいるのかもしれません。
自分を変えることよりも先に、自分を知る。
そして、自分を知っていく中で、「変えなくてもよかったもの」に気づくこともあるのではないでしょうか。
本来の自分へ還るということは、別の誰かになることではなく、これまで見ようとしなかった自分に、少しずつ出会っていくことなのかもしれません。
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