今現在、親御さんの介護にあたっている方。本当に、日々大変なご苦労があることと思います。「もう限界」と思いながら頑張っている方に対して「お疲れ様です」などというありきたりな言葉では、何の癒しにもならないと、私は知っているつもりです。
私自身にも父と母がいて、すでに二人を見送った経験があります。親の面倒は私が見ていかなければならない。そんな重圧を感じると心が潰れそうになってしまうものです。
この記事では、親の介護に罪悪感や限界を抱えてしまう本当の原因を紐解き、一人で抱え込まずに本来の自分の人生を守るためのヒントについて、私の実体験を交えてお話しします。
なぜ心が潰れそうに?親の介護に限界や罪悪感を抱いてしまう理由
私の父が病に倒れたとき母はとても献身的に看病をしていました。足腰の痛む体でよく過酷な日々を乗り越えたものだと、その姿を見ていた私からすれば「十分すぎる、いや, それ以上に尽くしていた」と言い切れます。
それでも、父を亡くしたあとの母は、自分のしてきたことに満足などしていないように見えました。やり切ったという安堵感などは全くなく、いつまでもどこか「もっとできたのではないか」と悔やんでいるように感じられました。
その母も、年齢とともに病気は増え、入院することになってしまいました。治療をしていただき病気は良くなっても、しばらくベッドで過ごしていることで痛めていた足腰はさらに弱っていきました。
本人の願いは、「退院後は家に帰りたい」。その強い思いで、痛む足腰を何とかしようとリハビリに励むものの、病院ですごせる期間には「三ヶ月」という期限があります。自力で立つことさえできない母を、これからどうすれば良いのかと悩みました。当時の母の希望は自分で生活すること。そのためには少しでも歩けるようになることはもちろん自宅の改修や、環境を整える必要もあります。ひとまずは、病院の紹介から老健(介護老人保健施設:自立を支援し、家庭に戻すことを目的とした施設)へ入ってもらうことにしました。
「家に帰りたい」と願う本人と、身動きができない母を前にして、「これからどうすれば良いのだろう」と一人で悩む私がいました。出来ることなら望み通り家へ戻してあげたい。けれど、現実的にその後、どのように対応していけばいいのか……。
【体験談】老健への入所やデイサービス選択で私が直面した「これで良いのか」という葛藤
幸い私の場合は、入院をきっかけに介護が必要になったことで、要介護申請はスムーズに進みました。入院が続けられないから施設へ入所しなければならない、という流れもありました。そして何より、親身に対応してくださったケアマネージャーさんに助けられながら家の改修からこれからの過ごし方、デイサービスの申請などもスムーズに進みました。
そのとき心から感じたのは、「もし自分たち家族だけだったら、一体どうしていただろう」という強い不安と、同時に湧き上がった安心感でした。
家に帰ってきた母は、以前よりも小さくなったように見えました。一人でこなしてきた家事を頼らなければならない。トイレに行くのも、身の回りの何をするにも助けがいることは本人にとっても辛いことだったと思います。私たちとしても、どこまで手を貸して良いのか、本人が嫌がるデイサービスに通わせて良いのか、本人には本人の意思があります。しかし、その意思をすべては叶えてあげられないことに、私は私なりに「これで良いのだろうか……」と、胸が痛む日々でもありました。今まさに介護をされている皆さんも、きっと同じような葛藤を抱えてこられたのだと思います。
話を聞いてくれる人がいた。力を貸してくれる人がいた。そうした専門職の方々のおかげで、私たちは何とか介護を乗り越えられたのだと、今でも心から感謝しています。
100点満点はない。真面目で優しい人ほど介護に正解を求めて苦しむ心理
さらに年齢を重ねるごとに弱っていく親の姿。仕方がないこととわかっていても胸が痛む瞬間があります。現在もリアルタイムで介護をされている方に対して、私は軽はずみなことは決して言えません。「頑張ってください」とも「楽をしてください」とも、どんな言葉をかけるのが正しいのか、今でも分かりません。
ただ、一つだけ言えるのは、「親の介護に正解はない」ということです。
何が正しくて、何が間違いなどありません。もちろん100点満点の介護なんて存在しませんし、それを目指す必要も絶対にないと思うのです。
親には親の考えや思いがあります。その考えや思いも常に変化しているでしょう。私たちに葛藤があるように本人も葛藤があるはずです。その本人の胸の内をすべて知ることなど出来ません。自分の思いの全てを誰かにわかってもらうことなど出来ないように。
かと言って何をどうしようと親の介護に対して「これで良い」と100%満足できることもないでしょう。実の親だからこそ、様々な「〜すべき」「もっとできたはず」という思いが頭を埋め尽くしていくと思います。気づけば頭の中が「自分と親だけを閉じ込めた狭い世界」になってしまっているかもしれません。
そうやって、周囲のつながりから切り離されて孤独になっていくことで、介護の苦しみはどんどん増していってしまいます。正解などないと頭では知っていても、優しい人ほど頑張りすぎてしまうから、限界を感じてしまうものなのです。
自分と親だけの狭い世界を抜け出す。一人で抱え込まず周囲に助けを求めよう
私自身がこの介護を体験して痛感したのは、「周りに助けてもらうしかない」ということです。
私の場合、ケアマネージャーさんに何度も相談させてもらいました。デイサービスの職員さんにもたくさん力を貸していただきました。もちろん、妻や家族にも大きな力を借りました。
今、あなたの頭を埋め尽くしているその重たい問題を、ほんの少しでも「引いていく」ことができたら、心はもっと楽になれるはずです。
親の介護の重荷を少しずつ引き算し、本来のあなたの人生を守るために
親を気にする気持ちを否定する必要はありません。ただ、その思いに縛られ過ぎなくても良いのだと思います。親への思いと同じくらい、自分自身の人生も大切にしてあげてください。
HANEはコンセプトに「足すのではなく引く」という言葉を掲げています。
親の介護をめぐる苦しい考え方も、少しずつ引いていくお手伝いができたらと思っております。
どうか一人で抱え込まず、温かいサポートのつながりの中へ、ご自身を戻してあげてほしいと願っています。
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