【今ここに集中できない】過去の後悔や未来の不安から自分を取り戻すために

気づくと、私は過去にいます。

終わってしまったことを、「あのとき、どうしておけばよかったのだろう」と考えています。

あるときは未来にいます。これから起こりそうなことを想像し、「そのとき、どう対応すればいいだろう」と考えています。

ときには、考えても仕方のないことに悩んでいます。

私は今、ここにいません。自分の世界の中で、過去と未来を行ったり来たりしながら彷徨っています。

「ああ、また同じことを繰り返している」

そう思うことがあります。一日のほとんどを、そんなふうに過ごしていることさえあります。

では私は、今ここで起きていることに、どれだけ気づいているのでしょうか。

マルチタスクの罠|人間の高度な脳の仕組みと「思考の迷子」

ある意味では、これは人間の能力の高さなのかもしれません。

例えば、車を運転しているとき。

ラジオから流れてくる人の話を聞きながら、その内容を理解することができます。音楽が流れていれば、一緒に口ずさむこともできます。

それと同時に、信号の色や道路の状況、前を走る車だけでなく、歩いている人の動きにも注意を向けています。

一度に多くの情報を処理しながら、頭の中では過ぎてしまったことを反省していたり、これからの予定を確認していたりする。過去と未来を行ったり来たりしながら、それでも車を運転することができる。

人間の頭は、それほど多くのことを同時に処理できます。

私の場合、そんなとき何をしているのかと考えてみると、過去を悔やみ、未来に不安を抱きながら、その思いをラジオや音楽で紛らわせ、運転に集中しようとしている。そんなことが多いのだと思います。

過去への悔いや、未来への不安の中を彷徨っていると、気持ちは少しずつ落ちていきます。

「こんなことを考えても意味がない」と思っているのに、また同じことを考えてしまう。なぜ、そんなことを考えてしまうのでしょう。そして、どうすれば、その思考に飲み込まれずにいられるのでしょうか。

五感のチューニング|五感を通して意識を「今ここ」へ繋ぎ止める

私は、過去や未来を彷徨い始めている自分に気づいたとき、意識的に自分を「今ここ」に戻すようにしています。

今ここで起きている何かに自分を結びつける。それによって、思考の世界へ入り込みそうになっている自分を止めるのです。

私は前を向いて運転しています。目には、目の前の景色が映っているはずです。

それでも、「今の空がどうなっているのか」「どんな雲が浮かんでいるのか」気づいていないことがあります。自分の車が今、時速何キロで走っているのかさえ、意識していないことがあります。

そんなときは、目の前に広がっている空を見てみる。雲の形を見てみる。車のエアコンから出てくる風を感じてみる。何でもいいのです。今、この瞬間にあるものへ、自分を戻します。

家の中で一人、ぼんやりしているときなら、今どんな音がしているのか、耳を澄ましてみる。何が見えているのか。見慣れた家の中のものでも、あらためてよく見てみる。どんな匂いがしているのか、感じてみる。

そうやって、今ここにあるものを感じてみます。余計なことを考えようとせず、ただ今起きていることに意識を向ける。それだけでも、思考の世界に入り込んでしまう自分を、今ここへ戻すことができます。

感情のジェットコースター|起きていない未来と変えられない過去を手放す

例えば、病院へ行って検査を受けるとき。まだ結果が出ていないにもかかわらず、「もし病気だったらどうしよう」と未来を想像してしまうことがあります。

「あのときの体の不調は、何かのサインだったに違いない」と過去を振り返り、悔やんでしまう。

まだ何もわかっていないのに、過去と未来を行ったり来たりしながら、心だけが苦しくなっていきます。私も、そんな感情のジェットコースターに何度も乗ってきました。

でも、まだ起きていないことを、今から心配する必要はありません。過ぎてしまい、もう変えることのできない過去について、いつまでも考え続ける必要もありません。

私が生きているのは、今ここです。そして、私が対応しなければならないのは、今ここで起きていることです。

特別なことはいらない。「今、ここにいる」と自分を戻してあげる

もちろん、私は今でも過去や未来へ入り込んでしまいます。

「あのとき、どうすればよかったのだろう」 「これから、どうなるのだろう」

気づけば、また考えています。だからこそ、意識的に「今ここ」にあるものへ、自分を結びつけようとしています。

空を見る。雲を見る。風を感じる。音を聞く。目の前にあるものを見る。特別なことをする必要はありません。ただ、今ここにある事実へ意識を戻す。

過去を変えることはできません。未来を完全に予測することもできません。

私にできるのは、今ここで起きていることを感じ、今ここにいる自分として生きることです。

過去や未来へ入り込みそうになったとき、「今、私はここにいる」と、自分を戻してあげる。それだけでも、思考に振り回されていた時間から、少しずつ離れていけるのではないでしょうか。

今、ここにいる。

それは、特別なことではありません。けれど、自分を取り戻していくための、大切な時間なのだと思います。

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